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一定規模の法人化は、当初事業年度を7か月にしよう!

会社を設立する際によく言われる「設立1,2年目は消費税の納税義務がない(そのため消費税分が手許に残ってお得!)」は、既にある程度の事業規模を持つ場合や従業員が多い場合には当てはまらないこともあり、注意が必要です。
今回は事業規模がそこそこ大きい個人事業主の方が法人化する際に、目一杯消費税の節税をすることができる方法(短期事業年度の特例の利用)をご紹介します。

1.免税事業者の一般的要件

消費税の納税義務がない事業者を「免税事業者」と言います。反対に納税義務がある事業者のことを「課税事業者」と言います。
そのため「免税事業者」になれば受け取った消費税を国に納める必要がないため、支払った消費税より受け取った消費税の方が多い場合、差分がそのまま自分の手元に残ることになります。
では、どうすれば免税事業者になることが出来るのでしょうか。
様々な要件がありますが、ここでは主なものとして3つ挙げさせていただきます。個人事業主が法人成りする際には、通常以下3つの要件を全て満たせば免税事業者になります。

①資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満
②基準期間における課税売上高が1,000万円以下
③特定期間における課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円以下

条件①:資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満

まず大前提として、会社設立時の資本金が大きすぎると初年度から課税事業者となってしまうので注意が必要です。

条件②:基準期間における課税売上高が1,000万円以下

基準期間とは、個人事業主の場合は原則として前々年、法人の場合は原則として前々事業年度のことをいいます。
ざっくりお伝えすると、2年前の課税売上高(1年分)が1,000万円以下であれば免税事業者です。

「設立1,2年目は消費税の納税義務がない(そのため消費税分が手許に残ってお得!)」とよく言われますが、条件②が根拠になります。設立1年目・2年目は当然2年前の課税売上高がない状態ですので、「基準期間がない」ものとして②の要件を満たすことになるのです。

2.見落としがちな「特定期間」要件

いよいよ本稿のポイントとなる条件③です。この条件を考慮に入れて設立をしないと、多めに税金を払ってしまうことにつながります。

条件③:特定期間における課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円以下

特定期間とは、個人事業主の場合は前年1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は原則として前事業年度開始の日以後6月の期間のことを言います。
こちらもざっくりお伝えすると、前期の上期6か月間の課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円を超えた場合、課税事業者になってしまうのです。課税売上が超えない場合でも、給与の支払い(役員給与を含みます)が超えてしまうと課税事業者となりますので、設立時に従業員を雇ってこれから売上を伸ばしていこう!という会社も注意が必要です。

条件③の事例検討

事例を基に検討してみましょう。年間の課税売上高3,000万円の事業を法人化したとします。資本金は条件①を満たす水準(資本金100万円等)とします。

設立1年目

基準期間(2期前)がないため、条件②を満たします。特定期間(1期前の上期6か月)もないため、条件③も満たしますので、「免税事業者」となります。

設立2年目

基準期間(2期前)がないため条件②を満たしますが、特定期間(1期前の上期6か月)はあります。設立1年目に3,000万円を稼いでいるため、最初の6か月で課税売上高1,000万円を超えている可能性が高いですね。その場合、条件③を満たさず「課税事業者」となります。

そのため、本事例では免税期間は1年間のみとなります。

3.短期事業年度の特例

既にある程度の事業規模を持つ場合や従業員が多い場合は条件③を満たしてしまい、2年目から課税事業者となってしまいます。このような状況が見込まれる場合、「短期事業年度の特例」を使用することで免税期間を延ばすことが可能です。

<短期事業年度の特例>
設立1期目が7か月以下:特定期間に該当しない
設立1期目が8か月未満:特定期間が若干短縮される(7か月半であれば特定期間は5か月半になるイメージです。)

このことから、設立初年度を7か月とすることで免税事業者となる期間を1年7か月にすることが可能です。

短期事業年度の特例の事例検討

先程と同じ事例で検討してみましょう。

設立1年目(7か月)

先程と同様、条件②(基準期間)・条件③(特定期間)の両方を満たしますので、「免税事業者」となります。

設立2年目(12か月)

基準期間(2期前)がないため条件②を満たします。設立1期目が7か月のため「短期事業年度の特例」に該当し、特定期間もありません。そのため条件③を満たし、「免税事業者」となります。

本事例では免税期間は「1年7か月」になりますね。このくらいの規模になると、7か月でも免税期間が増えると事業上大分有利に働きます。

まとめ

既にある程度の事業規模を持つ場合や従業員が多い場合の法人成りにおいては、設立初年度を7か月とすることで「短期事業年度の特例」を使用して1年7か月間消費税の免税事業者になることが可能です。
具体的には、設立後6か月間の課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円を超えることが見込まれるのであれば、設立初年度を7か月にすることで消費税の節税をすることができます。
このように、創業時に決定したことで、後々の税金が大きく左右されることは多々あります。会社設立時に税金について不安なことがございましたら、是非アカウンセル税会計事務所までご相談ください。

【関連法令・通達】
消法2、9、9の2、12の2、37、46、消令20の5、20の6、消基通1-4-5

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